本実験では, ラットに食餌中ビタミンEを0mg/kg diet (STZ-0 E群), 40mg/kg diet (STZ-40 E), 400mg/kg diet (STZ-400 E) 添加し26日間飼育した後, ストレプトゾトシンで糖尿病を誘発させ, 4日後に解剖し, 生体内抗酸化防御機構に及ぼすビタミンEの影響を調べた。 その結果, 体重増加はSTZ投与前にはSTZ-0 E群のみコントロールに比べ低い値を示したがSTZ投与後にはすべてのSTZ投与群で著しい体重減少が見られた。糖尿病群での血糖値はコントロールに比べ約3倍高く, 糖尿病群の中ではビタミンE投与量の差による影響は見られなかった。血清GOT, GPT活性はSTZ-0 E群およびSTZ-40 E群ではコントロールに比べ増加したがSTZ-400 E群では変化がなかった。肝組織中のXOD活性, SOD活性も血清GOT活性と類似した傾向を示した。肝臓中のGSH-Px活性はSTZ-0E群, STZ-40 E群ではコントロールに比べ著しく減少したがSTZ-400 E群では逆に上昇した。GST活性もGSH-Pxと同様の傾向であった。肝臓中のビタミンE含量はSTZ-0 E, STZ-40 E群ではコントロールに比べ50%, 36%それぞれ大きく低下したがSTZ-400 E群ではコントロールと差がなかった。肝臓中グルタチオン (GSH) 含量はすべての糖尿病群においてコントロール群に比べ減少したが, 酸化型グルタチオン (GSSG) 量は逆に増加した。しかし, ビタミンE大量投与群ではGSH/GSSG比が増加した。脂質過酸化物価 (TBARS) はSTZ-0 E群, STZ-40 E群ではコントロールに比べ有意に高い値を示したがSTZ-400 E群では有意差がなかった。