種々の豆種子を用いて, アリューロン層組織の構造とアリューロン層組織に含まれるGRP (高グリシンタンパク質) の含有量を調べ, 次に示す結果を得た。 1) ダイズ (Glycine max品種エンレイ), 黒ダイズ ( Glycine max , 品種タンバグロ), ツルマメ ( Glycine soja ) のアリューロン層細胞壁は, 赤インゲンマメ ( Phaseolus vulgaris , 品種タイショウキントキ), 斑入インゲンマメ ( Phaseolus vulgaris , 品種トラマメ) のものよりも厚みが増していた。 2) ダイズのアリューロン層細胞壁に特異的なGRPは主としてペクチン画分に存在した。 3) 3種のダイズのアリューロン層の熱水可溶性画分のGRP含有量は2種のインゲンマメのものより高かった。 4) ツルマメや黒ダイズから抽出したGRPの推定分子サイズはそれぞれダイズと同じ約30kDaであった。以上の結果から, ダイズ属植物のアリューロン層のGRPはアリューロン層の細胞壁構造強化に何らかの役割を担っていると推察した。