草類からタンパク質を効率よく簡便に, かつ高収量で分離するために, 各種試料を希塩酸溶液で前処理することによって, タンパク質の抽出率が改善されるかどうかを検討した。 1) 試料を22℃ (室温) で, 2N HCl溶液を用いて, 7日間 (試料によっては5~14日), 前処理することによって, おもな試料の純タンパク質は90%内外抽出された。しかし, その一部は加水分解され, 10% TCA溶液沈澱性タンパク質抽出率は80%内外であった。試料から直接に希NaOH溶液でタンパク質を抽出する場合のその抽出率に比べて著しく改善された。 2) 試料に対するHCl溶液での前処理温度を38℃にすると, その処理時間は大幅に短縮された。また純タンパク質抽出率は22℃前処理の場合に等しいか, それ以上であった。 3) 試料の前処理には, 2N HCl溶液が普遍的に用いうるが, 試料の種類によっては1.5N, 1N HCl溶液も用いうる。0.5N HCl溶液はその効果がなかった。