プラスまたはマイナスのエネルギー出納が若年女性の糖, 脂質, タンパク代謝に及ぼす影響について検討するため, 実験1, 2を実施した。実験1では, 負荷期6日間の摂取エネルギー量を3,000kcal/日に設定するとともにベッドレストを負荷し, エネルギー出納を+1, 800kcalとした。一方, 実験2では, 6日間の摂取エネルギー量を1, 500kcal/日に抑え, さらに450kpm/分強度の自転車エルゴメーターによる運動を1日に90分間負荷し, -300kcalのエネルギー出納とした。その結果, 1) 実験1では, 血中インスリン濃度が負荷期間中有意に増加し続ける傾向を示し, グルコース濃度は変化しなかったことから, インスリン感受性の低下が考えられた。また, インスリンレベルの上昇とともに血中トリグリセリド濃度が負荷期中有意に増加したことから, インスリンレベルの変化が脂質代謝にも影響を及ぼしている可能性が示唆された。 2) 実験2では, 体重の有意な減少を認めた。また, ヘモグロビン濃度およびヘマトクリット値の負荷期間中の減少による貧血傾向を認めた。さらに, ヘモグロビン濃度とノルアドレナリン濃度に有意な正相関がみられたことから, 体内の赤血球分布が変化し, 脾臓における赤血球貯蔵量が増加したものと考えられた。 3) 実験2の血中グルコース, インスリン, アラニン濃度が有意に減少し, 遊離脂肪酸が増加したことから, グリコーゲン貯蔵量が減少し, エネルギー産生への脂質代謝とアミノ酸代謝の寄与が増大した可能性が示唆された。