カボス果汁にエタノールを加えて得られた沈澱物 (カボス果汁粕) を飼料に添加してラットに与え, コレステロール代謝に対する影響を検討した。 1) カボス果汁粕の投与量を2.5, 5, 10%として高コレステロール食に添加して与えたところ, 血中および肝臓コレステロールレベルはカボス果汁粕の投与量の増加に伴って低下した。また, 糞中への中性ステロールならびに胆汁酸の排泄量は, ほぼ投与量に依存して増加していた。 2) 無コレステロール食および高コレステロール食にカボス果汁粕を10%添加して与えた場合には, 早い時期からカボス果汁粕のコレステロール上昇抑制効果が認められ, その効果は持続した。 3) カボス果汁粕の血清コレステロール濃度上昇抑制効果の機構の一つとして, 肝臓から血液へのコレステロールの分泌速度の低下が明らかとなった。 4) カボス果汁粕を乾熱あるいはオートクレーブによる加熱を行ってから与えてもコレステロール上昇抑制効果が弱まることはなかった。