n-3系ポリエン酸の消化器における炎症への影響を検討するため, コーン油, ペリラ油および魚油の3種の油脂を含む食餌をSD系雄ラットに与え, TNBS誘発潰瘍性大腸炎の1週間後の症状を比較し, あわせて好中球によるLTB4産生能およびリン脂質の脂肪酸組成を測定した。 その結果, n-3系ポリエン酸を大量に含む油脂の投与で大腸炎の症状は悪化した。好中球リン脂質アラキドン酸含量は, コーン油群で他の2群の約2倍高く, LTB4の産生能も最も高かった。n-3系ポリエン酸に富むペリラ油および魚油群の投与で, 炎症の主要メディエーターとされるLTB4の産生が減少したにも係わらず, 症状がコーン油群より悪かったのは, 正常な粘膜保護作用をもつエイコサノイドの産生が抑えられたためと推定された。