ラットにおける血中脂質濃度, とくに肝臓からの脂質分泌速度に対するオレイン酸の影響について検討した。 1) 実験1: 体重約90gのウイスター系雄ラットに, コーン油, 高オレイン酸ひまわり油, ひまわり油, 高オレイン酸紅花油または紅花油を15%含む食餌を2週間投与し, 血漿および肝臓中の脂質濃度を測定した。血漿総コレステロールおよびトリアシルグリセロール濃度は, 高オレイン酸ヒマワリ油および高オレイン酸紅花油食群でコーン油, ひまわり油および紅花油食群のそれに比べて有意に高かった。肝臓総コレステロール濃度は, コーン油食群に比べて高オレイン酸ヒマワリ油食群で低く, 紅花油食群で高かった。肝臓トリアシルグリセロール濃度は群間で差はなかった。 2) 実験2: Triton WR-1339を用いて, コーン油または高オレイン酸紅花油食を2週間投与したラットの肝臓からの脂質分泌速度を求めた。高オレイン酸紅花油食群のコレステロールおよびトリアシルグリセロール分泌速度は, コーン油食群のそれと比べて有意差はなかった。以上の結果から, 高オレイン酸食を摂取したラットにおける血漿脂質の上昇には, 肝臓からの脂質分泌速度の増加は直接関係のないことが示唆された。