1) 大都市に在住する女子大生および比較的ADLが高い高齢者においては, 総食物繊維摂取量は高齢者の方が女子大生よりも有意に多かったが, 脂質摂取量は両群間に差がなかった。 2) 高齢者では総食物繊維摂取量の増加に伴い脂質摂取量が増加し, 両群間に正の相関がみられた。女子大生については明確な正相関はみられなかったが, 総食物繊維摂取量の増加に伴い脂質摂取量が増加する傾向を示した。 3) 食物繊維の主たる給源は, 女子大生, 高齢者とも穀類と野菜類であり, 野菜類摂取量は高齢者の方が有意に多かった。油脂類摂取量には両群間に差がなかった。 4) 高齢者において, 野菜類摂取量と油脂類摂取量との間に有意な正相関が認められたが, 女子大生では正相関の傾向を示すにとどまった。朝食, 昼食, 夕食別にみると, 高齢者の朝食と夕食, ならびに女子大生の昼食で有意な正相関が認められた。また, 高齢者では穀類摂取量と油脂類摂取量との間にも有意な正相関が認められた。 以上の結果, 大都市在住者の最近の食事においては, 食物繊維の少ない食事が必ずしも脂質摂取量を増加させるとは限らないことが明らかになった。