鉄欠乏食を4週間投与して経時的に観察を行ったところ, 動員できる鉄が存在している鉄欠乏の初期 (1, 2週目) では, 酸化一次生成物である肝中PCOOH量や酸化二次生成物であるTBARS量には変化がみられなかった。しかし, 鉄が枯渇した状態 (4週目) では肝中PCOOH量が増加し, TBARS量が増加傾向を示した。その理由として, 動員できる鉄が存在する状態ではXOD活性には変化がみられないが, 鉄が枯渇した状態ではXOD活性が上昇したことやサイトゾール分画中の銅が過剰に存在し, また, Cu, Zn-SODやPHGPXなどの抗酸化系酵素の活性が低下したことが挙げられる。このような状態で肝の脂質過酸化反応は進行されることが示唆された。