炭酸カルシウムを, 牛乳中の主要な成分である乳糖および乳タンパク質とともに摂取した際の炭酸カルシウムの生体利用性を成長期のラットを用いて比較検討した。実験群としては, 牛乳摂取のモデルとして, カルシウムおよびタンパク質源がすべて乳由来となるように脱脂粉乳を配合した飼料群 (SM群), SM群のカルシウムの半分を炭酸カルシウムで置換した飼料群 (SM+CaCO3群), SM群のカルシウムの全部を炭酸カルシウムで置換した飼料群 (MC+CaCO3群), カルシウム源として炭酸カルシウムを用い, 乳成分をまったく含まないような飼料群 (CaCO3群) の4群とした。その結果, 1) 7週齢時の見かけのカルシウム吸収率は, 乳成分を含まないCaCO3群に比べ, SM群, SM+CaCO3群, MC+CaCO3群で有意に高い値を示した。また, SM+CaCO3群, MC+CaCO3群はSM群と同等にカルシウム吸収率が高値を示した。 2) 大腿骨骨密度もCaCO3群に比べ, SM群, SM+CaCO3群, MC+CaCO3群で有意に高い値を示した。 以上の結果から, 炭酸カルシウムを乳成分とともに摂取することは, 牛乳中のカルシウムと同等に吸収・利用されることが示唆された。