本実験では, 遠位結腸内容物および糞中の酪酸濃度を高める目的で, PSの同時摂取によるHASの大腸末端へのデリバリーを試みた。HASのみを添加した群 (2.5%HAS飼料群) の盲腸内酪酸濃度は, 対照群 (CS飼料群) に比べ有意に高い値を示した。2.5% HAS飼料群の酪酸濃度は, 消化管に沿って急速に低下し, 糞中酪酸濃度はCS飼料群とほぼ同様であった。一方, HASと同時にPSを添加した群 (2.5% PS+2.5% HAS飼料群) の酪酸濃度は, 全消化管を通じ比較的高い値を維持し, 糞中では2.5% HAS飼料群に比べ有意に高い値を示した。2.5% PS+2.5% HAS飼料群の糞中スターチ排泄量は2.5% HAS飼料群に比べ有意に高い値を示し, 糞中スターチ排泄量と糞中酪酸濃度との間には有意な正の相関が認められた。以上の結果から, HASと同時にPSを摂取することで, HASの大腸内発酵は制御され, 盲腸での発酵を免れたHASは遠位結腸での酪酸濃度を高めると考えられた。