L-アラビノースは小腸スクラーゼを特異的に阻害し, ショ糖の消化吸収を抑制する。実験動物ではショ糖負荷後の血糖上昇を用量依存的に抑制することが認められている。本研究では, ヒトにおけるショ糖含有食品摂取後の血糖上昇およびインスリン分泌に及ぼすL-アラビノース添加の効果を, 健常者 (48例) および2型糖尿病患者 (10例) で検討した。試験はクロスオーバー法または群間比較試験で行った。その結果, (1) 健常者 (8例) を対象にショ糖50gを摂取させた試験で, L-アラビノース添加ショ糖摂取群では血糖値および血中インスリン値の上昇が有意に抑制された。(2) 健常中高年 (40例) を対象にショ糖含有食品 (ゼリー: ショ糖含有量30g) を摂取させた試験で, L-アラビノース添加群では血糖値の上昇が添加濃度に依存して抑制された。(3) 2型糖尿病患者を対象とした試験でも, L-アラビノース添加ショ糖の有用性が認められた。(4) すべての試験において消化器症状等の副作用は認められなかった。 以上より, L-アラビノースは健常者および2型糖尿病患者において安全にショ糖摂取後の血糖上昇を抑制することが明らかになった。