脱脂米糠のチアミンを菌体内に集積したパン酵母を用いて製造した, チアミン含有量の高いパンのビタミンB1源としての有効性を検討した。健康な成人19人に連続3または4日間, 上記のパンを給与し, チアミン尿中排泄量および血中濃度の変化と, その間の食物摂取状況を調査した。パン中のチアミン給与量は0.45-1.25mg/人・日であった。尿中チアミン排泄量はすべての被験者で増加し, 血中チアミン濃度の平均値も有意に上昇した。供試パン中のチアミンは吸収され, ビタミンB1としての有効性をもっていたと考えられる。重回帰分析により, パン摂取後の血中チアミン濃度に対して, パン摂取前の血中チアミン濃度, 食事の動物性タンパク質比率および1,000kcal当りのチアミン摂取量が関連をもつことが示された。