バナバ ( Lagerstroemia speciosa L.) 葉より得た熱水抽出物 (HWE) は可溶性デンプン溶液と同時にラットに経口投与すると, 投与10分後の血糖上昇を用量依存的に抑制し, また500mg/kg投与群では投与10分後のインスリン値を著しく抑制した。次に, ダイヤイオンHP-20カラムを用いてHWEをHP-20非吸着部 (HPWE) およびHP-20メタノール溶出部 (HPME) に分画し, 可溶性デンプン溶液とともに投与した結果, HPMEにのみ血糖上昇抑制作用が認められた。一方, HWEはブドウ糖負荷による血糖上昇に対しては抑制効果を示さなかった。またHWEはα-アミラーゼ, マルターゼ, グルコアミラーゼ, スクラーゼおよびイソマルターゼのいずれの酵素活性に対しても阻害作用を示し, とくにα-アミラーゼ, マルターゼおよびグルコアミラーゼ活性に対し強い阻害作用を示した。α-アミラーゼおよびグルコアミラーゼ活性に対するHPMEの阻害作用はHWEより強く, HPWEはHWEより弱かった。以上の結果より, バナバは糖質消化酵素阻害作用に基づく食後血糖上昇抑制作用を有し, その活性成分はHPME画分に存在することから, ポリフェノールの関与が示唆され, バナバの糖尿病予防および食事療法への応用が期待される。