ラット門脈カテーテル法を用いて, 無麻酔・無拘束下において各種糖質のα-グルコシダーゼ阻害作用の持続時間を測定した。阻害作用持続時間は, マルトースあるいはスクロースを胃内に持続的に投与したラットの門脈血中グルコース濃度の上昇の抑制持続時間として測定した。スクロースの持続的投与下では, D-キシロース (0.24g/kg), L-アラビノース (0.24g/kg) およびD-グルクロノ-6,3-ラクトン (0.24g/kg) の投与は, α-グルコシダーゼ阻害薬であるアカルボース (0.024g/kg) やボグリボース (0.00024g/kg) と同様, 門脈血中グルコース濃度を低下させ, その抑制効果持続時間は, それぞれ150分, 60分, 90分, 120分および170分以上であった。一方, マルトースの持続投与下では, これら糖質による阻害作用は認められなかった。これらの結果より, α-グルコシダーゼ阻害作用の持続時間の測定は, α-グルコシダーゼ阻害薬の基礎研究において, その阻害薬の特性を知る上で重要な項目となることが示唆された。