ラードの過量摂取による体脂肪の蓄積や脂質代謝異常に対して, サラトリム (短鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸より成る加工油脂), 魚油およびサフラワー油の添加効果をラットを用いて検討した。エネルギー比で39%を占めるラード食を1カ月間与えると, 対照標準食に比べて白色脂肪組織重量は著しく増大し, 肝臓の中性脂肪 (TG) および総コレステロール (TC) 含量も約2倍に増加した。また血漿TGならびにTC濃度も有意に上昇した。ラードにサラトリムを1:1の割合で添加すると, これらの脂質代謝異常は抑制・改善されたが, サフラワー油の添加は無効であった。魚油の添加は血漿TGおよびTC濃度を低下させる効果を示したが, 肝臓中の過酸化脂質含量を増加させた。HDL-コレステロールはサラトリムならびにサフラワー油添加群で増加した。一方, 血漿中の遊離脂肪酸濃度はラード食と同様に, サフラワー油添加ならびにサラトリム添加群で増加したが, 魚油添加群では減少した。非ふるえ熱産生を行う褐色脂肪組織重量は魚油ならびにサラトリム添加群で増大をみた。以上の実験結果から, 高ラード食摂取による肝臓ならびに白色脂肪へのTGやTCの蓄積は, サラトリムの添加によって抑制・改善されることが明らかになった。