乳酸菌 Lactobacillus helveticus で発酵した発酵乳 (酸乳) 中には, アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害活性を有するペプチド Val-Pro-Pro, Ile-Pro-Pro が産生することが報告されている。本研究では, 酸乳飲料の8週間継続摂取時における血圧降下作用を, プラセボとの二重盲検法を用いて検討した。対象は, 軽症および中等症高血圧症者で, 内服薬の定期的投与を受けていない者のみとした (酸乳群: 男/女=6/9, 52.4±6.5歳, Systolic blood pressure/Diastolic blood pressure (SBP/DBP)=159±12/93±6mmHg, プラセボ群: 男/女=6/9, 51.5±5.9歳, SBP/DBP=159±12/94±9mmHg)。その結果, 酸乳飲料摂取群で, 収縮期血圧および拡張期血圧が摂取前に比して有意に下降した。一方, プラセボ摂取群では, 血圧に変化を認めず, 降圧において両群間に有意な差を認めた。さらに, 摂取期間を通じて, 空咳, 消化器症状などの副作用や異常変動は認めなかった。以上より酸乳飲料が, 軽症および中等症高血圧症者の血圧コントロールにおいて有用であることが示された。