Rhodotorula 属酵母は菌体外にコンニャクマンナンとは構造の異なるβ-1,3結合とβ-1,4結合の繰返し構造を有するマンナンを分泌するが, その産業上の利用は行われていない。また本マンナンの生理機能に関する知見もほとんどない。本研究は, ロドトルーラマンナンの生理機能の一つを明らかにするため, その血清および肝臓の脂質濃度に及ぼす影響についてコレステロール無添加食および添加食給与ラットを用いて検討した。血清トリアシルグリセロール濃度は, コレステロール無添加食, 添加食のいずれの場合においてもロドトルーラマンナンの給与によって有意に低下した。またコレステロール添加食の場合, ロドトルーラマンナンの給与によって血清コレステロール濃度が低下傾向を, 動脈硬化指数が有意な低下を示した。動脈硬化指数においてはコレステロールとロドトルーラマンナンとの間に交互作用が認められ, ロドトルーラマンナンがコレステロール給与に伴う動脈硬化指数の上昇を抑制することが明らかになった。肝臓脂質濃度はコレステロール添加食の場合, ロドトルーラマンナンの給与で有意な低下を示した。また肝臓脂質濃度にはロドトルーラマンナンの影響が観察されるほか, コレステロールとロドトルーラマンナンの交互作用が認められた。糞中胆汁酸および中性ステロイド排泄量はロドトルーラマンナンの給与によって増加しなかったことから, ロドトルーラマンナンによる血清コレステロールの低下傾向はその糞中へのステロイド排泄促進作用とは異なる作用によることが推測される。