ビタミンB6を大量に投与するとがんの増殖や転移が抑制されると考えられていた。しかしながら最近, 実際の食生活に近い適量のビタミンB6を食餌に加えると大腸腫瘍の発現が抑制されることがマウスを使った実験によって明らかになった。その作用は, 大腸の細胞増殖や酸化ストレス, 一酸化窒素 (NO) 産生の抑制によるものであることが示唆された。さらに, ビタミンB6には, がんの成長や転移に重要な役割を果たす血管新生を抑制する作用があることも明らかになった。これらの結果は, ビタミンB6が大腸がん予防に有効な栄養素であることを示唆するものとして注目される。