高糖質食ならびに高脂肪食 (ラード食) にショウガ粉末あるいはショウガの有効成分であるジンゲロンおよびジンゲロール (ジンゲロンの還元型) を添加し, エネルギー消費に及ぼす影響を酸素消費量と呼吸商の面から検討した。添加前と比べた12時間の累積酸素消費量はショウガの2%添加によって高糖質食群で7%と有意に増加し, ラード食群でも増加傾向 (6%) を示した。その際, 呼吸商 (RQ) はショウガの添加によって高糖質食ならびにラード食群でともに有意に低下した。比較のために唐辛子を2%添加して調べたところ, ショウガ添加とほぼ同程度の酸素消費量の増加とRQの低下を認めた。ショウガの辛味成分であるジンゲロンの効果を調べると, 0.4%の添加によって, 高糖質食群では微増にすぎなかったが, ラード食群で著しく増加した。RQはジンゲロンの添加によって両食餌群ともに低下した。一方, 辛味のないジンゲロールを0.4%添加した場合には, 酸素消費量ならびにRQ値に有意な変化がみられなかった。しかし, ジンゲロンとジンゲロールを同時に添加すると, 酸素消費量は高糖質食群で34%, ラード食群で28%と有意に増加し, 両成分の相乗効果が観察された。RQも有意な低下をみた。以上の実験結果から, ショウガあるいはその辛味成分であるジンゲロンは酸素消費量を増加させ, かつ体内の脂肪の燃焼を盛んにすることによってエネルギーの消費を促進する作用を持つことが明らかになった。