本研究の目的は, 独立行政法人国立健康・栄養研究所に設置された, 間接熱量測定法を用いたヒューマンカロリメーター (whole-body indirect human calorimeter: IHC)による, エネルギー消費量 (energy expenditure: EE) 測定の精度を評価し, 精度向上のための問題点を検討することである。アルコールを6時間燃焼させた40例の実験において, 本IHCによる測定値と燃焼したアルコールの重量から得た理論値との比(測定値/理論値)の平均値±標準偏差は, V O2で101.0±2.1%, V CO2で100.6±1.7%, ΣEEで100.9±1.9%であり, 測定値の高い確度と精度を確認した。しかし, 燃焼時間を短くした実験においては, 特に標準偏差が拡大する傾向となり, 数十分程度の短時間ΣEEの測定精度を向上させるためには, 測定システムおよびデータ蓄積・解析方法の改善が必要である。