近年骨粗鬆症に関しては基礎, 臨床の両面で大きな進歩がみられた。骨吸収促進分子は, 骨芽細胞に作用して細胞膜上にRANKL (Receptor Activator of NF-κB Ligand) を発現させ, RANKLは破骨細胞前駆細胞表面のRANKとの相互作用によって破骨細胞形成を促進する。閉経期骨粗鬆症において, 女性ホルモン欠乏により, IL-1, IL-6, TNF-α等の骨吸収性サイトカイン骨吸収が著しく亢進し, これらがRANKLを誘導することが明らかとなった。栄養との関連に関しては, カルシウム, ビタミンD欠乏は二次性副甲状腺機能亢進症を起こして骨量を減少させる。また最近ビタミンK欠乏, ビタミンA過剰が骨折の危険因子であることが示されている。治療面においては, ビスフォスフォネートのような強力な骨吸収抑制剤により, 骨量が増加するだけではなく, 骨折発生が著しく減少することが示され, 骨粗鬆症は予防・治療可能な疾患になってきた。