コレステロールや植物ステロールを含む動物性食品や植物性食品が調理, 加工, 保存される際にそれらに由来するさまざまな酸化物が生成するが, 日本人における植物ステロール酸化物の摂取量に関する報告は見当たらない。そこで, 本研究では日本人の1日の食事に含まれる酸化コレステロールおよび酸化植物ステロール量について測定し, それらの摂取量の推定を行った。1日分の食事を19日分用意し, 電子衝撃イオン化モードを有するGC-MSを用いて, 特定イオン観察モードによってステロール酸化物の測定を行った。コレステロールの1日当りの食事含量は258±14mg, 酸化コレステロールのそれは2.15±0.32mgであった。植物ステロールおよび酸化植物ステロールの1日当りの食事含量はそれぞれ133±9mgと2.48±0.15mgであった。酸化コレステロールおよび酸化植物ステロール含量ともそれぞれのステロール含量との間に有意な相関はみられなかった。以上の結果より, 日本人はほぼ同じ量の動物性と植物性ステロール酸化物を摂取していることが示唆された。