血中総コレステロール (TC) およびLDLコレステロール (LDL-C) が上昇すると動脈硬化などの疾病リスクが高まるが, ポリフェノールの摂取によって脂質代謝が改善し, 疾病リスクが低下することが知られている。松樹皮抽出物はポリフェノールを豊富に含むのが特徴であり, 血中や肝臓中のTCおよびLDL-Cを低下させる効果が期待されている。そこで, 松樹皮抽出物を用いて高コレステロール食を与えたラットにおける血漿のTCに及ぼす影響を検討した。ラットに, それぞれ普通飼料, 高コレステロール飼料, 松樹皮抽出物添加高コレステロール飼料 (0.02%, 0.2%, 2%添加) を与え, 摂取期間中の血中TC, HDLコレステロール (HDL-C), 中性脂肪 (TG), およびリン脂質を測定した。同時に, 肝臓中のTCおよびTG, 糞便中のコレステロールおよび総胆汁酸 (TBA) を測定した。その結果, 松樹皮抽出物を添加した高コレステロール飼料を与えたラットにおいて, 血漿のTCは低下し, HDLCは増加した。さらに, 肝臓中のTCは低下することが確認された。糞便中のコレステロールおよびTBAも同様に増加しており, 松樹皮抽出物の摂取によりコレステロールおよびTBAの排泄が促進されたのではないかと考えられる。これらの結果より, 松樹皮抽出物は高コレステロール飼料の摂取時において血中および肝臓中のコンステロール低下作用をもつことが明らかとなった。