ヒトを用いた研究 (ヒト研究) は, 実験動物や細胞を用いた研究とは目的が異なるだけでなく, 必要とされる研究方法も異なり, その結果として, 報告の様式, つまり, 論文の執筆様式も異なる。ヒト研究を計画, 実施, 報告する場合に, 注意すべき点として特に「対象者の基本特性」,「交絡因子」,「対象者数」,「測定誤差と統計学的有意性」,「研究の限界」,「集団代表性」を取り上げて概説を試みた。加えて, ヒト研究の論文をまとめる上で注意したい点についてポイントを整理した。ただし, ヒト研究であっても実験条件を厳密に制御できる実験室内での研究は除き, ある程度自由な生活を営んでいる条件下で行う研究, すなわち, 疫学的な方法論を用いて行われる研究に限定した。疫学研究は観察研究と介入研究に大別され, 観察研究はさらに記述疫学と分析疫学に分かれるが, 分析疫学を中心とし, 介入研究についても簡単に触れることにした。