大豆の食味とイソフラボン誘導体の挙動について, スチームコンベクションオーブン (SC) によるゆで加熱と蒸し加熱の影響を検討した。本実験では, 日常的なステンレス鍋でのゆで加熱 (鍋加熱), SCによるゆで加熱 (SC-ボイル), SCによる蒸し加熱 (SC-スチーム) を用いた。加熱前の4℃で16時間の浸漬において, イソフラボンは大豆中にほとんど保持されていた。鍋加熱とSC-ボイルではイソフラボンの70%が大豆中に保持され, 30%が煮汁へ浸出するという類似の結果を示したが, SC-スチームでは大豆中に100%近くのイソフラボンが保持されていた。SC-スチームでは官能評価における総合評価の項目で高い評価が得られた。乾物大豆中のイソフラボンの80%以上は4種類のイソフラボン誘導体: 6″- o -malonyl-daidzin, 6″- o -malonylgenistin, daidzin, genistin であった。鍋加熱とスチームコンベクションオーブンによる方法 (SGボイル, SC-スチーム) のいずれにおいても, 加熱によるマロニル化配糖体の脱アシル化配糖体への移行がみられたが, アグリコンの増加はほとんどみられなかった。