X線格子干渉計,即ちX線タルボ・ロー干渉計を,波動光学によるシミュレーションで設計して作製した.この干渉計は通常の医用X線管,マルチスリット,2枚のX線格子,そしてX線検出器によって構成される.この装置を用いて鳥手羽の骨関節を撮影したところ,3 mGyの被写体線量で軟骨が明瞭に視認できるX線画像が得られた.さらに,この装置を用いてサクランボの小角散乱画像を撮影したところ,従来のX線吸収画像では画像化できない内部構造の維管束を描写することができた.このX線タルボ・ロー干渉計は,MRI以外で生体軟部組織を描写することができる重要なX線画像技術として期待される.