異なるエネルギーで弁別したX線の2次元画像とCT画像から被写体(炭素,アクリル(メタクリル樹脂)PMMA,アルミニウム)の線減弱係数と実効原子番号を識別できることを確認した.これらのX線画像から求めた各被写体の線減弱係数の理論値と実験値の差異の比率は,X線光子エネルギー50–80 keVの範囲で,炭素は0.01–22.6%で,PMMAは0.01–23.1%であり,X線光子エネルギー60–100 keVの範囲で,アルミニウムは0.07–22.1%であった.また,これらのX線画像から求めた各被写体の実効原子番号は,炭素( Z =6.0)で6.0±0.3,PMMA( Z =6.48)で6.48±1.38,アルミニウム( Z =13.0)で13.0±0.3であった.しかし,これら実効原子番号の値の理論値との差は,まだ,相対的に大きいので,実用的にX線像から被写体の材質を識別するためには,さらなる実験が必要である.