本論文では,CIECAM02を用いた照明環境下におけるプロジェクタ投影画像の画質改善手法について述べる.プロジェクタは暗室環境下での利用が一般的ではあるが,近年の小型化・可搬性の向上により,屋外や展示会場などでも活用されはじめている.照明された環境下では,明るい光源をプロジェクタに用いることで文字情報は認識可能である.しかし,画像を投影する場合はコントラストの低下や色度のズレにより,暗室下のような再現が困難となる.そこで本研究では,周囲環境光変化の視覚的な影響を考慮した投影画像の画質改善手法を開発した.提案手法では,カメラを用いてプロジェクタ投影面の三刺激値を計測したのち,その三刺激値に順応した場合の反対色応答と明るさ応答をCIECAM02から算出する.そして,照明された環境下での反対色応答とコントラストを暗室下での見えに近づける補正を行うことにより,画質改善を行った.両眼隔壁を用いた一対比較法による主観評価実験を行い,有効性を確認した.