1980年頃の銀価格高騰を機に,ハロゲン化銀粒子内部にヨウ化銀を40モル%局在化させた単分散沃臭化銀乳剤技術が開発された.この技術をX線フィルムに適用し,銀量低減と高画質化が進み,更に現像処理時間が45秒から30秒のオルソフィルムの超迅速現像処理システムの開発へと展開した.また銀量の少ないX線フィルムが自動現像機処理で過剰水洗されたとき,高温高湿の画像保存条件下では酸化変色が生じた.本稿ではX線フィルムの技術を歴史的にレビューし,とくに内部に高濃度のヨウ化銀をもつ単分散沃臭化銀乳剤粒子技術について報告する.