前報において,写真の力を利用した教育の実践的研究を中学校の総合学習で実施し,共感性や意欲を増大させる効果があることを実証し,カリキュラムを提案したが,本研究は,自治体が支援する不登校生徒を対象とした不登校教室や社会人生涯教育など地域社会における教育において同様の教育を実践し,「生きる力」を育む効果があったことを示すものである.不登校教室の写真講座では,他者とともに活動することや,自分の作品が認められるといったことにより,他者への安心感や信頼感,自信や自己効力感といった効果があることがわかった.また,社会人生涯教育では,写真が,学ぶことの新たな喜びを与えるといった知的好奇心を充実させるだけではなく,様々な年代を超えた人の輪,語らいの共同体を形成させ,人とつながる喜びを与えることがわかった.