色素増感太陽電池の反応素過程を調べるために,可視-近赤外過渡吸収分光,時間分解マイクロ波電導度計測を駆使して,電子注入効率と電荷再結合反応について調べた.電子注入効率を決める因子として,色素のLUMOと半導体の伝導帯底のエネルギーの間のエネルギーギャップに注目し,議論を行い,その中で色素の会合体形成の影響についても議論した.電荷再結合は遅い反応であり,その起源を知るために温度依存性を測定した.その結果,低温でトラップ間を電子がトンネル移動する過程が見いだされた.さらに電子注入後の色素カチオンの化学的な安定性を議論するために過渡吸収スペクトルから電子状態を評価する有用性について議論した.