アナログ技術である医用直接撮影用X線写真フィルムは,X線の発見以来100年以上にわたり医療に貢献している.その初期には骨折や戦場における傷病,そして結核,さらに近年ではガンや循環器病などの画像診断に寄与してきた.この画像診断に関わる医用X線写真の画質の物理評価は1960年ごろから始まり,近年はデジタル画像への適用と展開してきている.本稿においては,医用X線写真の画質への取り組みについて歴史的にレビューし,さらにアーチファクトも考慮した医用直接撮影用X線写真フィルムの画質設計について論ずる.