前報において報告されている日本人が一番好きな色白の肌色,中国人が一番好きな赤味がかった肌色,そして近年中国人に人気が高まった小麦色の肌色について,中国および日本の若い世代20代と30代の男女の印象をSD法により調査し,どのような印象をもっているのかを明らかにすることにより,肌色に対する印象を形作る要因について論じた.その結果,日本人は肌の色を色味として意識しているが,中国人は意識していない.色白の肌色は全てのグループに好感をもたれている.赤味がかった肌色は中国人に健康的で好感がもたれている.小麦色の肌色は20代では女子が強く反応し,日本女子からは好感がもたれているが,中国女子は感じが良いとは思っていない.30代では日本男子が強い嫌悪すら感じている.ここで得られた結果を,肌色に対する印象は長い時間をかけて形成される文化的な要因が影響されるだけではなく,ファッションや流行といったその時代の要因にも影響されることで説明した.