グリシジルメタクリレート(GMA)の反応性を利用した感光性樹脂や接着剤が開発されている.一方,近年,グリーンケミストリーの一環として無溶剤化や水溶媒中での反応が研究されている.本報では,水溶性三級アミンモノマーである2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)と油性のGMA との水中での反応性をFT-IR およびNMR 分光法により解析した.従来,有機溶媒中でエポキシ化合物は三級アミンが触媒となり重合するが水中では開環付加反応はしないとされていた.しかし,水中でのDMAEMA とGMA との反応混合物からβ- ヒドロキシ四級アンモニウム水酸化物を確認した.また,DMAEMA のアルケンメチレン水素とβ- ヒドロキシ四級アンモニウム水酸化物のジメチル水素の比を定量して反応性(転化率,経時変化)を評価した結果,水中で水溶性三級アミンモノマーと油性であるGMA は定量的に反応することを見いだした.また,機能性アクリルアミドオリゴマーに光ラジカル発生剤を添加して光硬化特性を調べた結果,感光性樹脂として有用であることを見いだした.一連の反応は水溶媒中で進行し,水溶性高分子の機能設計に有用であると考えられる.