化粧肌の質感の解析を行うにあたり, 高精細かつ高精度な色再現をもつ画像入力装置の開発が不可欠である。本報では, HDTV画像入力カメラを用いて, 肌色の三刺激値の算出, さらには肌の分光反射率を推定する方法を検討した。 肌色色票39枚の実測値と計算値との誤差が最小となるよう決定した変換マトリクスにより, HDTVカメラの出力値RGBを三刺激XYZに変換した。その結果, 計算値と実測値との平均色差は ΔE*ab =0.60であり, 画像上で肌色の三刺激値を高精度に算出できることが示された。一方, 日本人女性の肌の分光反射率データ (108データ) を主成分分析した結果, 日本人の肌の分光反射率は3つの主成分, 最終的には三刺激値にて算出できることが示された。以上により, 肌のカメラ入力画像RGBから, 三刺激値 XYZ , さらには分光反射率を算出することが可能となった。