メディア間の色再現では, 色立体の違いと観察条件の違いのために明度マッピングと彩度マッピングが必要となる。明度マッピングは白色明度, 黒色明度の違いと観察条件の違いを, 彩度マッピングは色立体の彩度再現域の違いを対象に行われる。 透過原稿をスキャナ入力してD2T2タイプカラープリンタで再現する実験系において, 明度マッピング方法を比較する実験を行った。色空間には, Dr.Huntのカラーアピアランスモデルから得られる明度, 彩度, 色相を用いた。原稿画像4枚を用い, 線形明度マッピングと非線形明度マッピング2方法の3方法を比較する一対比較法の観察実験を実施した。明度圧縮量が少ない場合にはクリッピングタイプの非線形マッピングが常に好まれた。明度圧縮量が多い場合には画像によって異なる結果が得られて, 高彩度画像部分の螢光状の見えやディテールのつぶれが目立つ画像ではクリッピングタイプは好まれなかった。