ハロゲン化銀に対するゼラチンの選択的吸着を電気泳動的に検討した際, 指標とした泳動バンドの挙動に疑問点があったので, その追跡を行った。1つのゼラチン溶液を, 次々に新しい臭化銀に吸着させて行き, それぞれの臭化銀に吸着した成分の電気泳動図を見ると, 問題のバンドは吸着回数と共に減衰し, 5回目の吸着で消失した。したがって,'このバンドを与えるポリペプチドは元ゼラチン本来の成分であり, 臭化銀との接触により長鎖のゼラチンから生じたものではないことが明らかになった。このポリペプチドの吸着は実験条件下, 選択的であるが定量的ではない。