酸化タングステン薄膜上にポリビニルアルコール (PVA) 層を積層した場合, また, 増感色素NK-571あるいは臭化銀を含んだPVA層を積層した場合, 酸化タングステン薄膜のフォトクロミズムに対する影響を研究した。 酸化タングステン薄膜はゾル・ゲル法によって作成した。この酸化タングステン薄膜はある実験条件下では非常に弱いフォトクロミズムを示した。我々はこの酸化タングステン薄膜上にPVA層を積層することにより, そのフォトクロミズムが増強されることを, また, NK-571あるいは臭化銀を含んだPVA層を積層するときは, より増強されることを見出した。前者はPVAのOH基による酸化タングステンの効果的な電荷分離と, PVA中の水からのH+によるものであり, 後者は酸化タングステンに吸着された色素あるいは臭化銀からの電子移動によるものと結論された。