光触媒反応と電気化学反応の組み合わせにより, 透明導電性基板上にフタロシアニン薄膜のパターン形成を行った。本手法は, 顔料 (無金属フタロシアニン), 界面活性剤, 光触媒 (Ru (bpy) 3Cl2, bpy=bipyridine) 及び犠牲試薬 ([Co (NH3) 5Cl] Cl2) から成る水性分散系を利用する。この分散液を電解液とし, 基板に (対向基板に対して) 0.2V近傍の電位を印加すると基板全面に顔料薄膜が堆積した。この時, 同時にフォトマスクを通して光照射 (450mm, 0.3mW/cm2, 15min) を行ったところ, 露光部では膜堆積が阻害され, 未露光部では膜堆積が促進されたために, 良好なコントラストを有する顔料膜のネガパターンが形成された。さらにこの際, 電圧印加開始時刻を露光開始時刻よりも5分以上遅らせることにより, コントラストが増大することがわかった。この新規手法は, 我々がこれまで行ってきた光触媒反応のみを利用する手法と異なり, 任意の膜パターン形成が可能であった。