加熱分解したゼラチンの物理抑制度のpH依存性について検討を行なった。また, 加熱分解中に発生する熱凝固性物質, 遊離アミノ酸, 及び写真活性不純物の変化による物理抑制度への影響について検討を行なった。 ゼラチンの加熱分解による低分子化に伴い, 物理抑制度は上昇する事が明らかになった。この変化は熟成pHが高いほど顕著であった。但し, pH4熟成においてはカルシウムイオンが共存する場合, 物理抑制度は低下する事が分かった。 これらの変化は, 従来より提唱されてきた写真活性不純物 (核酸, チオ硫酸塩等) の影響ではなく, 加熱分解によるゼラチン分子の荷電変化による影響が大きい事が示唆された。また, 加熱分解による物理抑制度変化はゼラチン分子の荷電変化の影響によるものだけではなく, 他の不確定要素もこれに関与している事が明らかとなった。