ゼラチン水溶液の冷却に伴うゲル化過程を振動ロッド型レオメータによる動的粘弾性測定と示差走査熱量測定 (DSC) によって検討した。ゾルを冷却していくとある温度で粘性率の上昇がおこり, さらに冷却が進行すると剛性率の上昇がおこった℃ この現象は, ゼラチンの種類や濃度, 冷却速度によらず観察された。粘性率の上昇は分子間相互作用の増大による分子間架橋の形成開始に対応し, 剛性率の上昇は架橋の増加によってゲルネットワークの大きさが発散する現象に対応すると考えた℃ この様子はパーコレーション転移模型によってよく説明できた。粘弾性測定と同条件下でのDSCでは発熱ピークが観測された。ピークの立ち上がり温度は粘性率の増加の始まる温度とほぼ一致した。この発熱は水素結合による架橋形成に対応すると考えられるので, この温度で粘性率の上昇が始まるのは妥当である℃ゲル化挙動の濃度依存性では, 2wt%程度以下では急激にゲル化温度が低下した℃これはこの濃度域程度から分子内架橋形成がおこりはじめ, ゲルネットワークが形成されにくくなるためであり, この濃度域を境にゲル構造が変化すると考えられる。