カルバゾリル基を側鎖に約50%導入したポリペプチド (ポリ {γ-[β-(N-カルバゾリル) エチル]-L-グルタメート/メチル-L-グルタメート} コポリペプチド) (PC50LG) を合成した。このポリペプチドにシアニン色素を分散させることによりα-ヘリックスに相当するモル楕円率の増加が認められた。側鎖カルバゾリル基のカルバゾール環のπ電子とシアニン色素の共役π電子との相互作用による主鎖構造または側鎖配向性の変化に基づくものと考えられる。シアニン色素の吸収領域においても誘起円偏光二色性 (ICD) が認められ, しかもこのICDの形状, 大きさはシアニン色素のメチン鎖長に大きく依存した。これらの結果とシアニン色素分子長ならびにPC50LGの推定分子構造から, シアニン色素はポリペプチドのα-ヘリックス上でカルバゾリル基と相互作用し, シアニン色素の鎖長に依存したコンフォメーションをとっていることが考えられる。さらに, シアニン色素分散PC50LGの光導電性について検討を行った結果, シアニン色素のICDが大きく, 相互作用の強いNK-76・PC50LG系で, PC50LG単独系に比べ約10倍大きな光電流感度が得られた。この光電流の増加についてシアニン色素・PC50LG複合体の構造を含めて議論した。