低濃度のゼラチン溶液を冷却したときの比旋光度の変化を測定してゼラチン溶液のゲル化の過程について考察した。超音波照射処理によって調製した物性の異なるゼラチンを用いて比較検討を行ったところ, 3%以下の濃度ではゼラチンサンプル間に顕著な比旋光度の差は認められず, 冷却時の比旋光度の変化はゼラチンの物性よりむしろ濃度に対する依存性の方が大きかった。アルカリ処理骨ゼラチンを用いて冷却時の比旋光度の増加速度と濃度の関係について検討を行った結果, 冷却の初期において1.5%以上の濃度では比旋光度の増加速度は凡そ2次の濃度依存性を示した。しかし1.0%以下の濃度では1次に近く, 分子間の結合が減り, 分子内におけるコラーゲンフォールドを形成するような構造を生じている可能性が示唆された。1~2%の濃度において, 比旋光度の増加速度の温度依存性を検討し, 低濃度におけるゲル化の活性化エネルギーを求めた。