著者らが先に見いだしたピリジニウム塩を用いた硬調化システムにおける造核反応メカニズムについて検討した。ピリジニウム塩還元体のモデル化合物として1-benzyl-1, 4-dihydronicotinamide (BNAH) を用い, BNAHの造核活性について検討した。その結果, BNAH自身はハロゲン化銀結晶を造核しないが, ヘキサシアノ鉄 (III) 酸カリウムにより酸化される過程において, 造核活性種を放出することを写真的に証明した。この結果は, ジヒドロピリジン誘導体が, 造核反応の中間体として関与しており, 造核活性種のプレカーサーの役割を担っているという仮説を支持するものである。