ゼラチン溶液のCD測定における濃度と温度の影響を検討した。溶液中に形成されたゼラチンの高次構造は同温下では稀釈後も保たれると云われている。これはCD測定上重要な条件であり, 以下の確認を行った。0.25%溶液を成熟後, 直接および, 25倍稀釈して測定したもの, 対照として最初から0.01%で成熟させ測定したものを比較した。その結果, 稀釈すると一部ではあるが必ず構造の解離が起こることがわかった。その程度は成熟温度が低いほど高い。濃度が高く温度が低いほど弱い分子間構造の割合が高くなるためと思われる。また, 濃度の高いことは基本的に構造形成を促進するが, 濃度の効果は温度の低下と共に減少する。このようにCDの温度依存性がゼラチン濃度により異なることは分子内および分子間トリプルヘリックスの区別がCDにあらわれた1つの徴候ではないかと思われる。