乾燥条件と構造の詳細な関係を粘弾性挙動より観察した。その結果, 温度が主因となってゼラチンゲルの微細構造に影響を及ぼしていた。結晶性のコールドゼラチンは損失弾性率・ E'' が37℃付近でシャープなピークを示すのに対して, 無定形のホットゼラチンの E'' は幅が広くなり, また中間構造はピークが消失した。X線回折と E'' で観察されるミセル構造と微細構造とは規則性の点で良い対応関係が見られた。この E'' の挙動を利用して乾燥条件と構造との詳細な検討ができた。この結果を, ホット, コールド, および中間型の出現状態図として表わした。すなわち, 一般に凝固点温度以下ではコールド型となり, 35℃以上では完全なホット型となって, この両者の問の温度域が中間型となっていた。このことより中間型となる温度域が凝固点温度であることが示唆され, 7%RHの低湿度下では28から30℃の範囲にあり, また80%RHの高湿度下では25から30℃のより幅広い領域にあることから凝固点が湿度状態によって温度領域を持つと結論した。構造に及ぼす因子としては, 湿度よりも温度の方が大きかった。