臭化銀と銀および臭化銀と硫化銀の共存系において, 色素がいずれに選択吸着するかを調べた。平均粒子サイズの小さい単分散の八面体臭化銀粒子と平均粒子サイズの大きい単分散の八面体臭化銀粒子を同じ全表面積で混合した乳剤に, メタノールに溶解した色素を添加し吸着させた。大サイズ粒子の表面は, 小サイズ粒子との混合前にあらかじめ銀や硫化銀に変換した。その後, 遠心分離法により混合乳剤の大サイズ粒子と小サイズ粒子を分離し, 各々の粒子に吸着した色素量と未吸着の色素量を求めた。シアニン色素は, 銀よりも臭化銀にまた臭化銀よりも硫化銀に選択吸着した。メロシアニン色素は, 臭化銀よりも銀にまた臭化銀よりも硫化銀に選択吸着した。この様な色素の選択吸着性は, 粒子衷面での吸着サイトの違いや色素分子と粒子表面との間のvan der Waals力の違いにより理解することが出来た。