カラーフイルムの基本構成は1970年代の前半に確立し, 20世紀の最後の20年間は高品質と高感度の両立がキーワードとなった。高感度フイルムの常用化により手軽な撮影が可能となり, 写真文化の裾野が大きく拡大した。その典型がレンズ付きフイルムであった。21世紀に写真は何をなすべきかは難問であるが, 批判を覚悟で私見を述べてみたい。第一はグローバルな視点では写真の大衆化が出来ていないこと, 第二に現在の写真空間の広さが満足できていないこと, 第三に写真の個性化を押し進める必要があることを指摘する。