ゼラチンの電気泳動図には主成分α1およびα2バンドが明瞭に現れ, その強度比は石灰漬ハイドゼラチンでは理論値2: 1に近い。ところが石灰漬オセインゼラチンではその比が1: 1に近く, 泳動図の不思議の一つであった。原因に対し我々は, オセインゼラチンには第3の成分-α1に由来するα1'-が大量に含まれ, これがα2バンドと重なって現れるためと説明して来た。これまでの報告では, バンド強度はすべて目視によっていたので, 本報ではデンシトメトリーにより先の説明の検証を行った。α1'がα1に重なる泳動条件では, 検討したすべてのゼラチンについてα1バンド (見かけ上) はα2バンドに対し理論値に近い1.9~2.2倍となった。